総務人事の仕事を始めて早10年が経つ、社労士しゅん太郎です。
給料といえば、たくさんの税金が天引きされてはどこかに消えていきます。
社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税とどれだけ奪うんだと叫びたくなる税金が給料からだけでも4つあります。
その中でも、所得税及び住民税についての計算方法や仕組みがいまいち理解できない方も多いのではないでしょうか?
ということで、今回は所得税・住民税について最低限しっておくべき点をわかりやすく解説していきます。
Contents
所得があれば誰でも払う所得税と住民税
給料では社会保険料などいくつかの税金が天引きされますが、生活していく上で消費税・酒税・固定資産税と挙げれば震えてくるほどの税金を払っています。
その中でも、所得税と住民税については働く人にとって非常に身近で欠かせない税金でもあります。
ですが、この所得税と住民税については会社員であれば総務部が処理してくれるので知識としては少ない方が多いはずです。
簡単に言ってしまえば、1年間(1月1日~12月31日)までの所得をもとに計算して税金の額を決定することになります。
所得税の計算方法の仕組みは!?
まずは、所得税から簡単に触れていきましょう。
所得税
所得が高くなればなるほど、税率が高くなり累進課税という仕組みです。
所得が、195万円以下の場合 ⇒ 5%
195万円超え330万円以下の場合 ⇒ 10%
と年間の所得によって税率が変わります。
ここで1つ、良く分からなくなってくる点があります。
所得とは、給料からあらゆる経費を差し引いたものを指します。
ついつい、給料を基準に考えてしまいがちですが計算時は注意をしましょう。
でも、必要経費とか所得控除の計算ってどうするんだ?
続いて、行ってみましょう。
結構、簡単です。
所得税の必要経費ってなに!?
必要経費ってなんぞや!?
となる方も多いのではないでしょうか?
給料の収入から速算表に当てはめるだけで、すぐにわかります。
『はい、めんどくさい』となるかもしれませんが、、私のパッとしない年収で例を挙げます。
所得の計算方法
・年収420万円
360万円超660万以下に該当します。
420万円×20%+54万円=138万円
つまり、私の必要経費は138円となります。
420万円ー138万円=282万円
私の所得は282万円となります。
そもそも必要経費とは、生活する上での衣類や消耗品などにかかる部分と解釈してください。
基本的に、配偶者や保険に加入等々していなければこの所得が課税所得額で決定します。
課税所得控除の計算方法は?そもそもなにそれ?
まず、大半の方が加入することになる社会保険料がメインです。
課税所得の計算方法
収入から必要経費を引いた額
・所得282万円
年収420万円の場合の社会保険料
・年間62.58万円
282万円-約62万円=220万円
そこに基礎控除38万円を引く
※誰でも無条件で引きます。
220万円-38万円=182万円
課税所得は182万円!!
その他に配偶者、お子さんがいる場合、その方たちを扶養者として所得からさらに控除してくれます。
やはり、同じ収入でも扶養者がいないよりいたほうが、お金の使い道にも制限が掛かります。
なんせ、同じ給料を1人で使うか家族で使うかでまったく違いますから。
そこで、扶養者がいる場合に所得税の計算を少し緩和してあげますよといったルールがあるのです。
そんな私も、嫁に子供2人(年齢が16歳未満なんで対象外)いるので多少所得税が安くなります。
その他にも生命保険や地震保険と、万が一の為に備えた保険に加入している費用も所得税の計算の上で必要経費のように収入から控除出来ます。
これらの費用を必要経費と同様に所得から引いた金額が、所得税の計算のもとになる課税所得です。
実際に所得税を計算してみよう!!
それでは、実際に所得税の計算をしていきましょう。
とりあえず、扶養者も保険にも加入していないといったケースでシンプルな計算でさせて頂きます。
扶養者や、保険に加入していない場合は、先ほど計算した必要経費を引いた金額が課税所得額となります。
この表に先ほどの、私の必要経費を引いた所得をあてはめれば簡単に計算されます。
所得税額の計算方法
先ほどの課税所得の額
・182万円※扶養、節税対策なし
所得税の速算表では
195万円以下に該当します。
182万円×5%=9.1万円
年間で払う所得税額は約9.1万円!!
※更に復興増税で1.021を乗じます
※195万円を超える場合は、全ての額が税率10%になるわけではなく195万円分までは5%で計算されます。195万円を超えた部分のみを段階的に税率を掛けて計算した上で合算です。
しかし、このように細かな計算を毎月していくわけにはいきません。
なので、1月~11月までの給料は概算で税額を計算して、最終的に年末調整を行って税額を確定させるのです。
案外シンプルな住民税の計算方法
住民税は、所得税と同様に課税所得額をもとに計算されます。
では、一体その情報をどこから仕入れているのかから理解しましょう。
会社が市区町村に情報を送り住民税を計算する!
年末調整を12月に行うことで、課税所得額が分かります。
その際に、受け取る源泉徴収票を、市区町村にも送るのです。
ちなみに私の会社は、140の市区町村に住んでいる社員がいるのでその全てに1人で作業して送ります。
これがメチャクチャ地味で大変な作業なのです。
その源泉徴収票をもとに、市区町村で住民税の計算を行うので、扶養者の数や収入等を間違えないように会社に申告しましょう。
間違っても、しっかりバレて追加徴収されるので気を付けて下さい。
自営の方については、確定申告した情報をもとに住民税の計算がされます。
計算された住民税の徴収はのんびり!?
社会人2年目の方は、急に手取りが減ったと思うこともあるのではないでしょうか?
それもそのはずで、住民税は1年目には発生しません。
なんせ、1年目の収入をもとに計算して、翌年の6月から住民税の徴収が始まるからです。
「なんでそんなに遅いんだ?」
と、感じるでしょうが、市区町村に大量の源泉徴収票が届き、且つ、確定申告は2月3月と超多忙シーズンです。
それを計算し終わって、それぞれの会社に住民税額を知らせる頃には5月くらいになります。
ずれ込むの致し方ないといっていいでしょう。
住民税の流れ(新卒例)
新卒の場合は4月から入社となり、12月分までの8か月分をもとに2年目の6月から住民税が徴収されます。

つまり、初めて徴収される住民税は1年分ではないのです。
年収分が、しっかり徴収されるのが3年目の6月(1年目の1月分~2年目の12月分)からといことになります。
所得税は12月、住民税は6月、社会保険料は10月と時期がずれる上に計算の方法も違うところが税金の理解をややこしくしている要因です。
その中でも、住民税は最ものんびりやと言っていいでしょう。
そして、地味に高いので新卒の方はその点も踏まえて貯蓄形成を考えましょう。
住民税の計算方法は!?
住民税の額には、課税所得額から計算する所得割分と定額で負荷される均等割分の2つです。
所得割は、都道府県民税の4%と市町村民税の6%の計10%を課税所得額に掛けます。
均等割は、都道府県民税1,500円+市町村民税3,500円です。
均等割りには、復興増税(2023年まで)としてそれぞれに500円づつ追加されています。
復興も大事なので、この点は甘んじて支払うものといっていいでしょうが政治家を介したくはないところです。
住民税の計算
所得税の計算の課税所得額とは、若干異なる点もありますがこれで住民税も計算することが出来ます。
実際に、6月になると住民税の計算根拠を細長い紙で届くと思いますので年収から控除されていった課税所得額になっているかしっかり確認してみましょう。
といったことで、所得税と住民税の計算方法となります。
これみてもよくわからないという方は、とにかく所得税を安くすることを意識しましょう。
所得税を抑える為に貯金している一部を、資産運用に回す事をおススメします。
後は、会社の総務がどうにかしてくれるでしょう。

